重要なのは、「ウィザードリィは既存のゲームの本歌取り(インスパイア)によって生まれた」という点です。
このインタビューの内容だけで、「ウィザードリィはコンピュータRPGの元祖」という、
あたかも常識のように語られていた話題が間違いであることがわかります。
では、その「インスパイアされたゲーム」とはいったい何なのか。
その代表として挙げられるのが、1977年にPLATO上のオンラインゲームとして誕生した『Oubliette(ウブリエット)』です。
このゲームは街の酒場で他のプレイヤーの作成したキャラクターとパーティを組み、
ワイヤーフレームで描かれた疑似3Dの迷宮を探索し、強力なモンスターを倒し
手に入れたアイテムを鑑定し、ダンジョンの奥深くを目指す…という、
ほとんどWizardryと同様のコンセプトを持った作品です。
また、職業にSamurai,Ninjaを実装していたり(リンク先PDF注意、6ページ目)、
地下ダンジョンの構造にアルファベットが埋め込まれていたりと、
和風要素やダンジョン構造のお遊びといった、ウィザードリィを特徴付ける要素は既にこのゲームで盛り込まれています。
最もたるものは呪文名で(リンク先は上述のPDFと同一、10~11ページ目)、
なんとレベル1の魔術師呪文に”dumapic”があり(但しwizの同名魔法と効果は異なる)、
その他の呪文も独自のスペリングになっていることがお分かりいただけるかと思います。
この呪文名は”Varget”と呼ばれる独自の古代言語体系に従って命名されており、
スマートフォン版Oubliette(iOS/Android)を開発したGABYSOFTのホームページでその体系について説明されています。
ちなみにこの設定はトゥルー・ワードのように後から二次創作されたわけではなく、
オリジナル版に関わっていたスタッフ(David Emigh)によってゲーム制作の初期段階で作成されたものです。
呪文名の一致、そして呪文体系の類似性から、
ウィザードリィの呪文名が、このゲームの影響を受けている可能性は非常に高いのです。
またウィザードリィが影響を受けていると思われるのはこの作品だけではなく、
打倒Oublietteを目指して製作、1979年にリリースされた『Avatar』などの影響もあると思われます。